ストレンジ・ワールド / もうひとつの世界
皆さんこんにちは、bokuteです。
書く書くと言いながら毎度投稿の間隔が空いてしまう…まあ怠惰というものは難敵です。
というわけで4ヶ月ぶりの更新となる今回は、大好きなディズニーアニメ映画の感想記事でございます。11月23日から劇場公開のウォルトディズニーアニメーションスタジオ新作映画「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」、です。
近頃は、気になる新作映画に関しては予告編含め出来る限り前情報入れずに観にいくようにしているので、本作についても同様。
東京ディズニーシーの「センター・オブ・ジ・アース」もモチーフにしている的なことを監督だったか誰かが言っていたので、ジャンルとしてはアドベンチャー映画なのだろうということくらいしか知りませんw
とはいえ、ディズニー映画もここ数年はメッセージ性の強い映画が多いので、今回もただのアドベンチャーでは終わらないのだろうと。
期待ポイントとしては、製作陣が「ラーヤと龍の王国」を手がけたスタッフとなっていること。ラーヤに関してはTwitterのアイコンにしてるくらいですから、そりゃもう大好きな映画。今回もある種の連帯や理想を指し示すような物語になっているのでしょうか。
とまあ期待を膨らませつつ、早速鑑賞してまいりました!
作品情報
- 監督 ドン・ホール
- 共同監督・脚本 クイ・グエン
- 製作総指揮 ジェニファー・リー
- 音楽 ヘンリー・ジャックマン
- 原題 Strange World
- 上映時間 102分
- 製作国 アメリカ
- 製作年 2022年
- 日本語吹き替え 原田泰造、鈴木福、大塚明夫、松岡依都美、沢海陽子、他
あらすじ
冒険家を父に持つ農夫のサーチャーは、愛する妻と息子と共に仲良く暮らしていた。彼が昔発見した植物を基にエネルギーを生み出すことで日々の生活は便利になり、豊かなものとなっていた。そんな時突如として一斉に枯れ出した植物達。この謎を解き危機を救うべく、サーチャーは古くからの冒険仲間カリストや家族と共に未知の地底世界へと旅していく…
ここからが鑑賞後の感想です。重大なネタバレを含むので、本編視聴後に読むことを推奨します。
感想
『#ストレンジワールド/もうひとつの世界』鑑賞。
— bokute (@bokute9112) 2022年11月23日
危険が迫る世界を救うべく親子とその仲間達が世紀の大冒険へ!未知の地底世界を旅する彼らを待つものとは…いやーこうきたか!こりゃ思わぬ良作!ディズニー他作品と比べてもメッセージ性が強いので好みは分かれるかも。前情報入れずに観るのが最適。 pic.twitter.com/a21SdF4hrb
安定のディズニー。
様々な機械の動力源となる奇跡の万能植物パンドの発見により生活が格段に便利に豊かになった国アヴァロニアを舞台とし、機能不全に陥った植物の謎を解き世界を救う使命を背負ったサーチャーたちの大冒険は親子3世代の軋轢と絆の修復を描き、壮大でスリル満点たる冒険映画の楽しさを再認識させると共に、思わぬ結末で観客を圧倒するアクション・アドベンチャー大作でございました!
いやーとても良かった。賛否は割れそうというかオチにハマれるかどうかで評価が決まる中々危うい映画ではありますが、個人的にはすごく良かったです。
もちろん結末のみならず、山脈や大統領綬などから中南米を想起させつつ都市の雰囲気からはどこかズートピアぽさも感じられるアヴァロニアの世界観は好みでしたし、親子愛の物語としても、またイーサンの成長譚としても、はたまた純粋に地底世界の探検映画としても感動し楽しめる、バランスの取れたいかにもディズニーアニメらしいよくできた作品だったのではないでしょうか。
冒頭の場面では、冒険家の父とのすれ違いと別れ後奇跡の植物となるパンドを発見し、その25年後に農夫となってパンド農園を経営しているサーチャーと家族の生活模様が描かれます。
サーチャーは冒険に熱中して周りを顧みなかった父を意識してある種反面教師とし、冒険嫌いで家庭を大切にする良き父となっています。その子イーサンもそんな父を愛し尊敬しているものの、冒険好きだった祖父のことにも興味を示しています。
そんな中訪れる危機。一斉に枯れていくパンドたち。いつの間にかアヴァロニアの指導者となっていた昔の冒険仲間カリストに依頼され渋々承諾し、サーチャー達はパンドの中心がある地底世界へと旅立っていきます。
まずは親子の物語について。
道中、地底世界にてサーチャーは長年行方不明となっていた父イェーガーと再会するのですが、二人はまさに水と油の関係。再会を喜んだのも束の間、祖父のワイルドさに興味津々のイーサンを見て息子が悪い影響を受けてるとサーチャー。言い合いが始まります。
とまあ事あるごとに言い争う二人ですが、どこか気が合う部分も。仕草もそっくりだったり、なんだかんだ似ているイェーガーとサーチャー。
実際現実世界もこんな感じですよねー、いろんな事で言い合ったり相性が合わないなんていっても結局のところ親子であることには変わらないから、第三者から見てああやっぱり似てるなって思ったりとか。
一方でサーチャーはやはり心配なわけです。
父のように向こう見ずな人間にはなってほしくない、危険を冒してほしくはない…息子に対する思いが強まるうちに、サーチャーはいつの間にか父と同じく価値観の押し付けのようなことをしてしまいます。
イーサンは当然反発。冒険が始まった当初は暗い洞窟に怯えたり脇が甘かったりと幼い一面を見せていた彼も、様々な未知を経験する間に成長し自立しつつありました。
人間は、特に子どもは、常に変わり続けます。成長し変化し、後戻りはしません。究極的には親は子の変化を受け入れ見守るしかないのでしょう。子どもは親の思い通りにはいかない、その前提に立って寛容な精神でいる他ないのかもしれません。
親子の絆、これが本作の大きなテーマの一つになっています。
世界観やキャラクターなどについても少し触れておきましょう。
先述した通り、登場する架空の国アヴァロニアは南米っぽさが随所に見られます。ただ特定の国をモチーフにしたというわけではなさそう。もしかしたらインタビューで監督なんかがおっしゃっているかもしれませんが、映画鑑賞時の考えや感想を保つためブログ書き終えるまでは関連情報に触れないようにしているので、もしそういうのがあったらすいませんw
イタリアが舞台の「あの夏のルカ」やコロンビアの「ミラベルと魔法だらけの家」などディズニー/ピクサーアニメーションには特定の国が舞台となっていることも多いですから、異国の文化を体感するという点においてもディズニー映画は楽しむ要素に困りません。
キャラクターに関してはワイルドなイェーガーや中々有能な未知の生物スプラット、そしてめちゃかわな犬レジェンドが個性的ですが、他の登場人物については若干印象に残りにくいかもしれません。
地底世界に住む数々のちいかわとレジェンドの可愛さでキャラの弱さをごまかしているようにも見えますが、まあ実際可愛かったのでよしとしましょうw
ちいかわと言っても数が多いので集合体恐怖症の人はご注意を。というかちいかわだけじゃなくて結構気持ち悪い生物が出てきたりはしますので、逆にクリーチャー好きな人は嬉しくなるかもしれません。
劇伴についてですが、これも印象が薄いです。
いつもなら鑑賞後に映画のサントラ聴いたりするのですが、今回はキャッチーな曲が無かったので聴きませんでしたね…
BGMなので必ずしも耳に残るものにしなければならないというわけではないし、「ミラベル〜」のように楽曲を特に重要視しているわけでもなさそうなので別に構いませんが、一応。
不思議な世界ってこういうことね。
感想の直前にいつも書いているネタバレの注意喚起が今回は「重大な」となっていますが、本作のオチはそれほど重大です。というか、もう製作陣はこのオチに賭けたんでしょうおそらく。
途中からずっと匂わせているんですよね。なので勘がいい人は中盤くらいで気づいたのではないでしょうか。
ちなみに自分は全くわかりませんでしたw
正直既視感というか、まあありそうだよねという程度のものではあります。特にこの手のオチを映画やらゲームやらで見たことあるって人は何も面白いと感じないかも。
ただ個人的には本作の結末が示すテーマが大好物だったこともあり、オチはとても良かったと思っています。
だってもうバカデカい目が出てきた瞬間から口あんぐりでしたもん。作り手の狙いにまんまと引っかかった客の一人ですw
彼らが住んでいた世界、そして冒険した地底世界。それら全体が一つの生き物だったというオチ。
それがわかった瞬間に、言われてみれば確かにの連鎖が始まるんですよね。あれは心臓で、あれは免疫システムで、あれは胃酸で…
そしてアヴァロニアの一帯は生き物の背中。あの山脈と言われていた部分は尻尾?じゃあもしかして地底世界への入り口はケツだったの!?とかねw
すべてはドデカい生き物の身体で起きていた、というのが種明かしでした。
しかしそれだけでは終わらないのがウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。
このオチはある重要なメッセージ、テーマへと繋がっています。
世界が生き物だとわかった今、それまで害虫と思って殺していたものは免疫にとって必要なものであり、さらに奇跡の植物とされてきたパンドの使い過ぎによって生き物が息絶えようとしていることが明らかとなったことで、サーチャー達はそれまでの行動を改め、なんとか心肺蘇生を試みアヴァロニアを危機から救うことに成功します。
さらに、現代社会にとって必須のエネルギー源だったパンドが使えなくなったアヴァロニアでは不便になったことを嘆きつつも、変化を受け入れ適応しようとする人々の力強さが、生き物との共存共栄を目指す新たな社会を作り出していました。
要するに、この結末、ひいては彼らの世界は私たちの社会に置き換えることができるわけです。
産業革命やエネルギー革命を経て格段に豊かになった我々の暮らし。しかしそれは地球の資源を搾り取ることで成り立っています。
このやり方では早晩地球がもたなくなることは誰の目にも明らかですし、事実様々な異常気象や資源の枯渇、飢えや貧困の問題が日に日に大きくなっていますが、それでも我々人間は地球環境を酷使し続けています。
さらに言えば、人間の活動によって地球が異常な状態に置かれていることを信じようとすらしない人たちもいまだに存在します。あるいは見て見ぬふりをしている人は相当数いるでしょう。
劇中でも最初カタリナたちは世界が生き物であるという事実を全く信じようとしませんでした。生き物はまさに死に絶えようとしているところで、実際手遅れになる寸前でなんとか世界は救われました。
この地球、現実世界も同じ状況にあるのではないでしょうか。
今からでも遅くはない、私たちは地球環境の問題にきちんと向き合い、一丸となって行動しなければならない。それが本作の一番大きなメッセージなのだと思います。
そして、そのメッセージ性はラストシーンに象徴されます。
世界は変わり続ける。後戻りすることはできない。でも私たちはきっと、変化に向き合い適応することができる。だから恐れず、都合の悪いことから目を背けずに真っ直ぐ問題に取り組もう。そうすれば間違いなくより良い未来が待っている。
この不思議な世界、もうひとつの世界は私たちの世界の写し鏡。
どう思い、どう考え、どう行動するかが問われているのだと思います。
最後に
評価点についてですが、今回は甘々ですw
繰り返しになりますが賛否分かれる映画だと思うので、自分が率先して肯定していこうという気持ちを込めてこの点数にしました。
思ったのが、やはりディズニーはピクサーと比べて社会問題の要素を多く入れてくるなということ。本作は特にその色合いが濃いので、そこにハマれるかどうかが一つ評価の分かれ道になりそうです。
それではまた次回!チャオ!
評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10