アンカット・ダイヤモンド
まえがき
どうも、今週忙しすぎて家帰ったら寝るだけのbokuteです。
今回は「アンカットダイヤモンド」の記事を書いていきます。
まず、普段は前書きと基本情報は事前に書いておくんですけど、今回は思いつきで記事書いてるので雑になっているかもしれません。すみません。
今回鑑賞する映画は良作傑作揃いのA24配給の作品。主演のアダムサンドラーは賞レースでも存在感を発揮しています。予告編を見てみると、確かにアダムサンドラーの演技は素晴らしいなとは思うのですが、肝心の映画のストーリーがイマイチ掴めない。
一体これは何の映画なんだろうと。宝石が出てきたからその宝石を盗んで一攫千金っていうオーシャンズシリーズ的な話なのか、それにしてはちとテンポ悪そうだなとか。まあ何にせよ、オーシャンズ的な映画だと勝手に想像していたんです。
そしてもしそれが現実だとしたら、オーシャンズシリーズが大好きな自分にとってはこの作品はもしかしたら大ハマりするんじゃないかと思い、今回鑑賞するに至りました。というか、映画館まで行く元気が無かったっていうのもあります。例のコロナウイルスの件とかもありますし、あまり外出したくもなくて。
正直言うと、2日前に観た「ナイブズアウト」と「バッドボーイズフォーライフ」が期待を超えるモノではなかったので、そのモヤモヤした気持ちのまま1週間を終わりたくないのです。元々今週は今作が一番の期待作でしたから、今作には期待せずにはいられませんね。良作であることを祈るばかりです。
ストーリーが謎に包まれている本作、一体どんな映画なんでしょう。
それでは早速鑑賞してまいりました!!
基本情報
イントロダクション
膨れ上がる借金と激しさを増す取り立てに、命さえも危ぶまれる状況の中、口先だけで生きてきたニューヨークの宝石商は、すべてを賭けて一獲千金を狙うーー
「グッド・タイム」のサフディ兄弟監督とタッグを組んだアダム・サンドラーが、批評家に"自己最高"と言わしめた演技をみせる。
あらすじ
ニューヨークで有名な宝石商のハワード・ラトナーはギャンブル中毒により借金を抱えていた。借金はハワードの義兄のアルノにまで及んでおり、ハワードはアルノの用心棒から常に監視されている状況だった。ある日、ハワードはエチオピアで採掘されたブラック・オパールを手に入れた。そのオパールはNBAのスター選手ケヴィン・ガーネットの興味を引き、ハワードはオパールの取引をすることになった。この取引で一攫千金を狙うハワードは、あらゆる面でリスクの高い賭けに挑むことになる。
予告編
Uncut Gems | Official Trailer HD | A24
(youtubeより)
キャスト
ハワード・ラトナー役
アダム・サンドラー
ドマニー役ラキース・スタンフィールド
ジュリア役ジュリア・フォックス
ケヴィン・ガーネット役本人
ダイナ・ラトナー役イディナ・メンゼル
アルノ役エリック・ボゴシアン
グーイ役ジャド・ハーシュ
フィル役
キース・ウィリアムズ・リチャーズ
レクサス役
ポム・クレメンティエフ
カット役パロマ・エルセッサー
アンソニー役
マイク・フランチェスカ
エディ役ジョナサン・アランバエヴ
マーセル役ノア・フィッシャー
ザ・ウィークエンド役本人
スタッフ
監督
ベニー・サフディ
ジョシュ・サフディ
脚本
ベニー・サフディ
ジョシュ・サフディ
ロナルド・ブロンステイン
製作
セバスチャン・ベアー=マクラード
イーライ・ブッシュ
スコット・ルーディン
音楽
ダニエル・ロパティン
撮影
ダリウス・コンジ
編集
ロナルド・ブロンステイン
ベニー・サフディ
かなりどうでもいい話なんですけど、今作のアダムサンドラーの衣装がなんか「スターウォーズ」のランドカルリジアンの衣装に似てません?なんとなく似てますよねwやっぱかなりどうでもいいなw僕はどうやら「スターウォーズ」狂人らしいので何でもかんでもスターウォーズと結びつけてしまう傾向があるようです。気をつけますw
ここからが鑑賞後の感想です。ネタバレが大いに含まれていますので、映画鑑賞後に読むことをオススメします。
感想
まずはTwitterの短評から!
#アンカット・ダイヤモンド 鑑賞!
— bokute@映画垢 (@bokute9112) 2020年2月1日
究極のギャンブル映画
主人公ハワードがクズ中のクズで前半は超うるさくて鬱陶しいその性格に苛々するのに、後半になってくると彼の賭けを応援したくなってしまう
とにかくスリリングで狂ってて、観てくださいとしか言いようがない
10点中8点#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/Hv99FFHbUZ
こんな映画観たことない!!
なんだこの映画!終始嫌気が差すほど罵倒雑言が飛び交うのにこんなにもハラハラドキドキ心臓バクバクさせられるとは!!
圧倒的な会話劇、圧倒的な演技、圧倒的なクレイジーさで135分突っ走って圧倒的なクライマックスで幕を閉じるA24の新作は、どのジャンルにも属さない映画界の異端児的な超絶クレイジーな作品でございました!
いやー、これは面白かったです。展開があまりにも予想外すぎて前半は映画のテンションについていけませんでしたがw後半になってくると、どういう風に今作を楽しめばいいかが掴めてきてクライマックスでは僕の心臓はハイパーテンポになってました。
まず言っておくと、オーシャンズシリーズ的な展開では無いです。全く違いました。宝石を華麗に盗むとかそういう類の犯罪映画とは全く別物でしたね。そもそも何かを盗むというわけではなく、人生大逆転するために何かを賭ける、いわばカイジ的な(カイジ見たことないので勝手な僕のイメージですが)作品でした。
冒頭そういう映画では無いとわかった時少し落ち込みましたが、今思い返してみると正直オーシャンズシリーズより面白かったです。
今作の主人公はオーシャンズシリーズのように盗むことが趣味で楽しんでるわけではなく、命賭けて一攫千金を狙います。
じゃあなぜ命まで賭けて一攫千金を狙うしかない状況になってしまったかというと、
なんと、、主人公ハワードがギャンブル中毒だからです!!………ハイ、そういう映画です。主人公、ただアホでクズなだけです。ギャンブルのしすぎで借金大量に抱えて、巧みな話術だけを頼りに人から値打ちモノを借りては質屋に入れ一時的なお金を手に入れてその場を切り抜けようとする、まあただのクズ野郎です。愛人がいて家族からも見放されてますし。
それでもどうにかこうにかして生きてきたハワードですが、義兄アルノから借金をしたことをきっかけにアルノが雇った用心棒に尾行されるようになります。日々激しさを増す取り立て。ついには家族や自分の命も狙われるようになります。
そんな時、ハワードはエチオピアで採掘されたブラックオパールを手に入れます。ちょうどその頃ハワードの宝石店に来店していたNBAのスター選手ケヴィンガーネット(ガチ本人)にそのブラックオパールをわざと見せて高値で売ろうとします。ケヴィンはその石の虜になり、1日だけ貸してくれと言います。ハワードは内心借金返せるだけの高値で売れないならオークションで売りたいと思っていたので貸すのを渋りますが、1日だけならと思い貸します。
しかしハワードが担保が欲しいと言いケヴィンの指輪を担保とします。話術だけは世界一のペテン師ハワード。もちろんその指輪も質屋に持っていきます……
というように、この主人公、まあ嘘しかつかない。そしてギャンブル好きなのに運が悪いw
ハワードは嘘ばっかりなもんですから、劇中ではそのツケが回ってきて「アレ返せコレ返せ!」「忘れちゃったゴメン!」って会話ばっかり。実はその逆もあって、ハワードは忘れちゃったテヘペロで済ませるのに相手が約束のもの忘れると「コンニャロてめぇどうしてくれるんだオラァ!!」ってめっちゃ怒るw正に実写版オオカミ少年です。
こんな感じで劇中は喧嘩ばっかりなんですけど、その喧嘩がなんかもうアホすぎて笑えるw彼らは本気で命や大金かかってるんでしょうけど、喧嘩のノリといいますか、会話だけでいえば小学生レベルの罵倒雑言といいますか、大の大人がこんなアホみたいに感情爆発させるか!?って感じで笑えてきてしまうんですよね。
そんな数多くのエピソードの中でも個人的に一番好きなのが貸していたブラックオパールを返してもらおうと車の中へ向かうハワードに突然声をかけてくる顔がそっくりなハゲ2人の話。
2人は知り合いのハワードに金を貸していたのか(?)、我慢の限界で金が必要だと言います。もちろんハワードはオパールの事で頭がいっぱい。3万ドル分の時計をやるからサッサと消えろと言います。しかし2人は時計に詳しくないと言い出します(声かけるタイミング悪すぎる上にポンコツすぎるww)。ハワードはんなこと知らねえよと言い、2人は去っていきます。
その後ハワードはアルノの用心棒に命を狙われ、この状況を切り抜けるには一攫千金しかないと考え、その日のケヴィンガーネットの試合でギャンブルをすることに。しかしアルノ達にその事がバレるわけにはいかないので窓越しに愛人のジュリアに頼んで賭けてもらうことに。
その時タイミング悪くやってくるハゲ2人のうちの1人。ハワードがくれた時計は偽物だったとようやく2人は気づき、ハワードの元へやって来たのです。もちろんハワードはそれどころではありません。ハゲ1人は店から出て来たジュリアにどうにかしてくれと迫りますがジュリアはハワードに頼まれたことでそれどころではなく、ガン無視され話も聞いてもらえませんでしたとさ。
それ以降2人が出てくることはありませんでした。
このエピソード、その下らなさというか、とことんタイミングが悪いところに笑えてしまいますよね。しかもガン無視されてから劇中に出てこないっていうあっけない最後w
例えがちと違いますけどいわばタランティーノのような、ストーリーに直接は関係ない作品上の寄り道が多く、そういった部分も含めて非常にクセが強く、でも僕好みな映画になっていたと思います。
クズすぎる主人公。
先ほどもそのクズっぷりを書いたのですが、まだまだ書き足りないのでどれだけ主人公ハワードがクズなのか深掘りしていこうと思います。
まず第一に、とにかく人のモノを返さない!時計やペンダント、指輪といった高価なモノを借りたら速攻で質屋へGO!というその場しのぎの「なんくるないさ〜」精神(沖縄の人ゴメンなさい)。
ハワードはその日までに返せと言われても期日に返すことは絶対しません。相手から「そういえばアレ返してよ」と言われたらその後で返すという最低野郎です。
第二に、ハワードはちまちま金を稼いで借金を返すという発想はありません。ギャンブル中毒から立ち直って真面目に働いて借金を返すという発想もありません。ハワードの精神年齢は5歳かそれ以下。ララランドのミアとセブ、ではありませんがハワードも同じく一攫千金を夢見るドリマーなのです(ただのギャンブル中毒)。
ケヴィンガーネットに17万ドルとかで買わせておけば少しは取り立ても厳しくなくなったでしょう。少なくとも命の危険を晒す心配は消えたはずです。でもハワードはあくまでも一攫千金で50万稼いで一気に返済をしようとします。たぶんその考えしか頭にないんだと思いますw
第三に、家庭をおろそかにしてるのに自分の中では大事にしてるつもりだと勘違いしています。
ハワードの妻、ダイナはとっくに呆れ返っていて、夫の顔も見たくないとまで言う始末。
まあギャンブルばっかりで家に帰って来たと思ったらTVのチャンネル変えろとか言い出すし、子供の劇の発表会で急にいなくなってどこ行ったんだろうと思ったら車のトランクに裸で入っていたり、娘が友達と通話してるの邪魔して「お前のこと誇りに思うぞ」とかいかにも父親らしいこと言ってポイント稼ごうとするあたりクソうざいので、ダイナが雪の女王エルサのように凍った感情しか持たなくなるのも仕方ないことです(ダイナ役はアナ雪でエルサ役を演じていることで有名なイディナメンゼル)。
第四に、ハワードは単純にヤバい奴です。
エチオピア人に対して明らかな差別的発言をしたり、嘘ついてオパールの鑑定額上げてオークションに出品させようとしたり、下品な言葉しか使わなかったり、自分は堂々浮気して愛人の家のクローゼットに隠れたりするのに愛人ジュリアがクラブのトイレで男と2人で入ってるだけ(実際何もしなかった)でハワードは「この浮気女!!くそったれ!」とか言ってジュリアが謝りにきても飲み物を顔にぶっかけて罵倒雑言浴びせるという、もうこんな男地球上にいてイイのか?と疑問すら浮かぶほど罪深い奴です。
そしてこのクズ野郎を演じたのがアダムサンドラー。あまりにも見事な演技でございました。ゴールデングローブ賞でもノミネートされましたが、僕は正直受賞して欲しかった。これほどの長い会話をずっとハイテンションでクレイジーに演じられる俳優はそう多くないです。アダムあってこそのハワード、アダムあってこそのアンカットダイヤモンドであると、鑑賞後の今ではそう思います。
ハワードのクズっぷり、おわかり頂けたでしょうか?映画史に残る最強クズ野郎を是非大画面でご堪能あれ。
圧倒的なクライマックス。
今作最大の見所といえば、やはりオークションの場面とクライマックスのバスケの試合でしょう。
オークションの場面から一気に加速度がアップしてそのままエンドロールにゴールインする後半は映画の中でも特に好きです。
ここではその加速度が頂点に達するクライマックスのギャンブルについて書いていこうと思います。
ハワードはジュリアにバスケの試合を賭けるよう頼み、宝石店にいたアルノ達はジュリアを追って金を少しでも取り戻そうしますが、ハワードは帰ろうとしたアルノ達を2つのドアの間に閉じ込めます。
アルノ達は「ふざけんなこの野郎!こじ開けてやる」と意気込みますが、残念ながらドアは防弾ガラスで出来ており、こじ開けることはできません。そこでアルノ達は外にいる手下に頼んでジュリアを追わせます。しかしジュリアは道中出会ったヒッピーのような格好をした男に匿ってもらうことで追っ手から逃れます。
そしてついにケヴィンが出場する試合が始まりました。どうやら3つの条件があり、全てをクリアすれば賭けに成功するとのこと。
果たしてハワードはこの最後の大勝負に勝ち、人生を大逆転することができるのか!?墜ちるところまで堕ちた男の大逆転劇が今、始まる。
まず言いたいのが、アルノとその用心棒間抜けすぎん?wドアとドアの間に閉じ込められるって何事だよwしかも閉じ込められた直後はめっちゃ元気に声張り上げてたのに、その後疲れて座ってバスケの試合を静かに観戦しますからねw
まあアルノにとっては金さえ返してくれれば後は何でもいいわけですから、金が返ってくるかどうかがかかってる試合に夢中になるという気持ちもよくわかりますけどね。
バスケの試合は興奮しましたねー!しかもこのシーンは試合会場からの視点で撮影したのではなく、あくまでもハワードが観るテレビで放送されている試合を撮るっていう演出がリアルなギャンブル感といいますか、我々観客もハワード視点に立つことができるのでこの演出は良かったです。
そしてスコアが入る度にハイパーテンションになるハワードよ。あれ試合してる選手よりも興奮してるでしょwそんなハワードの興奮する姿を観ていると、反面教師にすべきだなと思う反面、なんかカッコいいなぁと思ったり、思わなかったり。
安全に堅実に生きてる僕らの方がハワードよりも遥かにまともなはずなんですけど、ハワードの「これが俺だ!俺は自由だ!!」って主張しているかのような表情を眺めていると僕らの堅実な生活がどこか窮屈に見えてきてしまうんですよね。
そして迎える儚くも輝きのあるラストシーンは、この映画のタイトルが「アンカットダイヤモンド」でなければならなかった理由を証明してくれています。
この圧倒的なラストシーンを例えるならばフォードvsフェラーリやワンハリのラストシーンですかね。あの時、あの瞬間だけは世界一輝いていたんだ。このメッセージは3作品ともに共通していることだと思います。
ラストシーンだけでいえば、年間ベストになるでしょう。
最後に
有名な批評サイトでロッテントマトっていうサイトがあるのを皆さんご存知でしょうか?
批評家スコアと観客スコアという2つの評価基準がありまして、単位は%で100だと最高で0だと最低、スコアが60を超えると新鮮なトマト、スコアが60未満だと腐ったトマトとなるんですが、今作は批評家スコアが92、観客スコアが52というかなり極端な評価となっているんですよね。
批評家スコアが低くて、観客スコアが高いというのは大作映画とかでよくあるんですけど、批評家のが高くて観客のが低いというのはあまり、特に良作を多くリリースしているA24配給作品だとなかなか無い珍しい評価なんですよ。
でもこの賛否両論の風潮、映画を観た今では凄くよくわかります。だって明らかに大衆向けの映画では無いんですもの。激しい会話が135分ずっと続いて、135分ずっと主人公のクズっぷりを見せられるんですから、もうこの映画を好きになれるかどうかは完全に相性次第です。
にもかかわらず、何故か僕のツイッターのTLは絶賛ばかりなんですよねwもしかしたら日本人と相性イイのかも?そんなことないかw
ともかく、僕としては大満足の一作でしたので、皆さんも是非Netflixで鑑賞してみてはいかがでしょうか?
それでは今回はここら辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました!
評価 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★8/10