bokuteの備忘録

新米の映画好きが自由闊達に綴る感想ブログ。

映画「パラサイト/半地下の家族」ネタバレあり感想&評価

パラサイト/半地下の家族

 

第92回アカデミー賞作品賞含む最多4部門受賞!!

まえがき

どうも、まだ全然スターウォーズロスから抜けられないbokuteです。

今回は「パラサイト/半地下の家族」の感想記事を書いていきます。

 

カンヌ国際映画祭ではパルムドールを、ゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞し来年のアカデミー賞でもノミネートが確実視されている「パラサイト」。

格差社会の痛烈な批判をシニカルな笑いを混ぜつつ極上のエンターテインメントに仕上げられた本作が今回、1月10日の全国ロードショーに先立って先行公開されることになったので先行公開初日に見に行くことにしました。

 

今日の日韓関係は最悪です。僕自身日々ニュースを見て出来るだけ多くの情報を手に入れて理解しようとしています。我々日本人の韓国に対する感情は様々です。一方で韓国人の日本に対する感情も様々です。でもこれだけは確実に言えます。

韓国映画は面白い!!

その通り、韓国映画は本当に面白いです。まあそういう僕もあまり本数は観れてないんですが、今のところハズレなしです。全体的にみると邦画より優れていると、個人的にはそう思います。

 

特に好きな韓国映画は「新感染/ファイナル・エクスプレス」です。

韓国内でパンデミックが発生、新幹線内にいる主人公達も徐々にその異変に気づいて…という一見典型的なゾンビ映画のストーリーなのですが、そうじゃない。もちろんゾンビ映画の要素はたっぷりあります。ゾンビ大量に出てきます。そこそこ怖いし緊迫感もたっぷり。でも感動します。エモいです。マ・ドンソクの勇気に胸躍り、マ・ドンソクの最期に泣きます。

ちなみにマ・ドンソクは来年公開の「エターナルズ」というマーベル映画に出演してますます有名になると思うので名前だけでも覚えておくといいと思います。でも僕はおそらくその時も「新感染」を推します。たぶんね。

 

話がズレましたが、要は韓国映画は面白いんです。先入観だけで決めつけず、一度でいいから観ていただきたいです。本当に良作が多いんですよ。

絶賛評ばかりの本作パラサイトは傑作なのか?はたまた期待外れなのか?

 

それでは早速鑑賞してまいりました!!

 

基本情報

イントロダクション

カンヌ国際映画祭では、審査員満場一致で[最高賞]パルムドールに輝いた『パラサイト 半地下の家族』。タランティーノ、ジャームッシュら名匠の話題作を抑え、韓国映画として初の同賞受賞という歴史的快挙を成し遂げた。その後も各国の映画祭を席巻。第92回アカデミー賞®国際長編映画賞韓国代表にも選出され、受賞が有力視されている。

メガホンを取ったのは『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』など、世界がその才能を絶賛する若き巨匠ポン・ジュノ。本作では、あらゆるジャンルを完璧に融合させながら、いま世界が直面している貧富格差への痛烈な批判をも内包した、超一級のエンターテインメントとして描き切った。

韓国動員1,000万人突破、フランス動員150万人突破、香港・台湾では歴代パルムドール受賞作品において最多動員数を記録。さらには6か国で韓国映画の動員記録を塗り替えるなど、全世界で爆発的盛り上がりをみせる傑作が、いよいよ日本に上陸する。

(HPより抜粋)

 

あらすじ

過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。

“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。

「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。

パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。

(HPより抜粋)

 

予告編


第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

(youtubeより)

 

キャスト

ソン・ガンホ  キム・ギテク役

 

イ・ソンギュン    パク・ドンイク役

 

チョ・ヨジョン    パク・ヨンギョ役

 

チェ・ウシク       キム・ギウ役

 

パク・ソダム       キム・ギジョン役

イ・ジョンウン   ムングァン役

チャン・ヘジン キム・チュンスク役

チョン・ジソ       パク・ダヘ役

チョン・ヒョンジュン  パク・ダソン役

パク・ソジュン   ミニョク役

(映画.comより抜粋)

 

スタッフ

監督

ポン・ジュノ

 

製作

クァク・シネ

ムン・ヤングォン

チャン・ヨンファン

脚本

ポン・ジュノ

ハン・ジヌォン

撮影

ホン・ギョンピョ

美術

イ・ハジュン

衣装

チェ・セヨン

編集

ヤン・ジンモ

音楽

チョン・ジェイル

(映画.comより抜粋)

 

 

ここからが鑑賞後の感想です。ネタバレが大いに含まれていますので、映画鑑賞後に読むことをオススメします。

 

感想

まずはTwitterの短評から!

 

大まかなあらすじから。

全員失業中でピザの箱を作るなどのちょっとした仕事で生計を立てて食いつないでいる半地下の家に暮らす貧しい一家。

その貧しさと言ったら、一家の息子の友達が来たときでさえ食べ物を差し入れてほしかったと思わず口を滑らせてしまうほど。

 

そんな時、息子の友達が留学している間担当していた家庭教師を代行してほしいと息子に話します。

ギャラが高いときいた息子は家庭教師を引き受けることに。早速家にいった息子は正式に家庭教師になるためのテスト?みたいなものもパスし、英語の家庭教師として一家の娘ダヘに教えることに。

その後すっかり仲良くなった一家の奥さんとの話の中で幼い子供ダソンの美術の才能を引き出したいという奥さん。その時息子はある計画を思いつきます。

 

息子は奥さんに良い美術の先生がいるからよければ紹介したいといいます。その先生とは、、同じ家族の娘。美大を目指していた彼女は美術の先生になりすませる、息子はそう思ったのです。

知り合いの紹介は信用できるからと息子の提案を快諾する奥さん。娘はカリスマ美術教師になりすましてすぐに金持ち一家の信用を得ます。

 

そんなある日、娘が豪邸での家庭教師としての仕事を終えて家に帰ろうと金持ち一家専属の運転手の車で駅まで送ってもらっている時に、彼女はある計画を思いつきます。突如アンダーウェアを脱いで運転席の下にそれを忍ばせます。

それは一家に、運転手が一家の車の中でハレンチなことをしたと勘違いさせるためでした。見事なまでに騙され、さらにクスリをやっていたと勝手に思い込む一家。彼らはすぐに適当な口実をつけて運転手をクビにします。

 

続いて娘はさりげなく奥さんに知り合いの運転手を紹介します。それは彼女の父。彼は運転手一筋30年のベテラン運転手になりすまし、彼もまた金持ち一家に潜入します。一家はすっかりベテラン運転手だと思い込んでコーナリングがいいとか言って本当は運転経験ほぼゼロの父を褒めちぎります。

 

それだけでは終わりません。父は今度は金持ち一家の家政婦をクビにして、一家で唯一残っている母を家政婦として雇ってもらおうという計画を立てます。その家政婦は桃アレルギーだということを知った息子、娘、父の3人は桃の毛からとった粉末を家政婦の近くに巻いて発作症状を引き起こし、それを結核の症状だといって金持ち一家を騙そうとします。

その計画も見事成功。全員失業中だった4人家族は全員金持ち一家の豪邸に就職することができました。

 

一方ですべてがうまく行ったわけではありません。金持ち一家の子供ダソンに、4人の匂いが同じだと言われてしまいます。このままではバレるかもと思った彼らはそれぞれ別の洗剤にしようかと考えました。

とはいえ、身元がバレることなく4人それぞれ順調に仕事をこなし、生活が今までより少し余裕が出てきた半地下で暮らす4人。

 

そんなある日、金持ち一家総出でダソンの誕生日記念でキャンプに行くことに。少しの間ではあるものの空き家になった豪邸でまるで自分の家であるかのようにやりたい放題する半地下で暮らす家族4人。たとえ少しの間でも今は我々の家だといって幸せな気分になる4人。

 

しかしそんな時クビになったはずの家政婦が豪邸に訪れます。仕方なく豪邸に入れると、家政婦は地下の倉庫に行って梅シロップが敷き詰められている棚をどかして謎のシェルターのような場所に入っていきます。

その衝撃的な展開に驚く4人。シェルターの中にはなんと家政婦の夫が住み着いていたのでした。つまり女は家政婦として家で働きつつシェルターの中に夫を隠して食べ物を与えていました。長らく食べ物を与えていないことから衰弱している家政婦の夫。

 

2日に一回、いや1週間に一回でいいから夫に食べ物を与えてほしいという家政婦。こんな物を目撃してしまった以上警察に通報するとあくまで強気の新しく家政婦となった一家の母。

しかし物陰に隠れてその様子を見ていた息子、娘、父がひょんなことから転倒して家政婦にその存在がバレてしまいます。

 

すると態度を豹変させてお前らが家族であることを今撮影した動画で奥さんにバラすぞと強気になる家政婦。それをされると全ての計画が吹っ飛ぶので家政婦に従うしかない4人家族。

 

その後4人を脅しながら悠々とソファに座って過去を語り出す家政婦。その油断した隙に4人はスマホを奪って動画を削除しようとします。家政婦とその夫2人も抵抗して大乱闘に。結果、4人家族がスマホを奪うことに成功し今度は家政婦たち2人が従わざるを得ない状況に。

 

その時、奥さんから電話が!なんとキャンプ先でトラブルがあり帰ってくることにしたとのこと。あと8分で着くからジャージャー麺を作っておいてと言われます。慌ててジャージャー麺を作り、家政婦とその夫を地下のシェルターに隠し自分達もベッドの下や机の下に隠れます。

そしてついに、金持ち一家が帰宅。。

 

果たして4人はその身元がバレてしまうのか!?はたまた豪邸から脱出することができるのか!?そして家政婦たちはどうなるのか!?

その怒涛のクライマックスは是非劇場でご覧ください。

 

まさに「パラサイト」

ハイ。というわけでまずはあらすじを一通り書いてみました。実を言うとあんまり感想が思いつかないのでとりあえず書き起こそうと思って先にあらすじ書いちゃいました。

パルムドール受賞作ということで相当期待してたんですが、、率直にいうとそれ相応の良作にはなっていたんですが、期待以上のものは無かったです。たぶんバカだからこの映画の魅力を十分理解できていないからなんでしょうけど、なんかあまり今作からカリスマ性みたいなものを感じることができませんでした。

まあそもそも大きな賞受賞した作品だからといってカリスマ性を求めすぎるのは間違っているのかもしれませんが。

 

マイナスな感想をいうと、予想より笑えなかったですし、メッセージ性というか格差社会の描き方があまりにも露骨すぎるなと思いました。

プラスな感想だと、少ないものの笑えるシーンではコメディセンスが凄かったなぁとは感じました。

例えば冒頭で息子の友達が家庭教師をしている金持ち一家のダヘに恋してるから大学行ったら真剣に付き合うつもりだからダヘに手を出さなそうな信用できるお前に家庭教師を頼みたいと息子に言うシーンがあるんですけど、結局その息子もダヘに恋してしまって、その後家族にダヘに恋してることを話す時に友達が話していたことと全く同じセリフを言うんですね。そういう繰り返しも自然に上手く使われていて、それが上手に笑いにつながっていたと思います。

また、格差社会の描き方も露骨だからこそ強烈な印象を観客に与えることができるんじゃないかなと思いました。

 

セクションのタイトルでもありますが、今作はまさに「パラサイト」、つまり貧しい一家が富裕層の豪邸に寄生していく話でしたね。寄生虫やウイルスのようにこの半地下で暮らす家族はふとした所から自然に侵入して段々と侵食し、クライマックスでその病原性が爆発するストーリーでした。

 

これ大きなネタバレになってしまうのですが、クライマックスで半地下の家族の父親が金持ち一家の亭主(企業の社長)を衝動的に殺してしまうきっかけになったのが「におい」。

一見寛容に家庭教師や美術教師や運転手や家政婦として彼らを受け入れていた金持ち一家ですが、亭主か車の中で運転手である父から発される貧しい「におい」を気にするあたりどこか心の底で雇われる側の彼ら、貧困層としての彼らを差別していたのです。

クライマックスのそのシーンでも、亭主は気絶した子供ダソンを病院に運ぶために運転手である父から鍵をもらって車で病院に行こうとする時に父が投げた鍵が亭主に届かず、鍵がシェルターに長らく隠れていた家政婦の夫の体の下に入ってしまいます。

亭主はその時家政婦の夫の体をどかそうとするのですが、その体の「におい」を明らかに嫌がるんですね。それを観た父はこんな匂いになるのは手を差し伸べてくれないお前ら富裕層のせいだ!と言わんばかりに富裕層である彼らへの憎しみが爆発して衝動的に刺してしまいます。

そういった、今現在の不寛容な格差社会を強烈に描き出していたと思いました。

 

あとは富裕層と貧困層の対比表現も、これまた強烈でしたね。

半地下の一部屋、衛生面でも汚く服もボロボロ、食いつないでいくための安定した職もない、子供達が大学に受かっていれば…韓国では日本以上に受験がその後の人生を左右しますから、もし子供達が受験に受かっていたら人生大逆転で金持ち一家のような暮らしが出来ていたのかもしれませんが。

2人とも受験に失敗したため全員失業中のお先真っ暗な4人に対し、高台の豪邸、デカすぎる庭とセキュリティ万全の家、家の中はもちろん清潔で亭主は会社の社長、家政婦も運転手も家庭教師も雇える、なんでも食料が揃っている人生勝ち組の4人。

 

日本でぼっーと暮らしている我々にとってはその対比描写だけで目を覚ませ!と言われている気分になれるでしょう。近年ますます問題になってきている格差社会をテーマにし、世界に向けて強烈なメッセージを訴えかけた作品でした。

 

オーシャンズ的面白さ。

書くの疲れちゃったのでこのセクションは短めに書きます。

今作は強烈なメッセージ性が最大の特徴といえますが、それだけでなく「オーシャンズ」シリーズや「ミッションインポッシブル 」シリーズといった潜入、スパイ大作映画モノに通ずるエンタメ的面白さもありました。

 

半地下で暮らす家族4人が1人ずつ金持ち一家の豪邸に潜入していく展開はハラハラドキドキの緊迫感たっぷりで楽しかったですよね。特に運転手をクビにしたり家政婦をクビにしたりするための罠を仕掛けるシーンは成功するかどうかめっちゃドキドキしました。このドキドキはやはりスパイモノのドキドキ感に似ていたなぁと感じます。

運転経験ゼロの父が運転手として潜入するための準備としてベンツのショールームで運転の仕方を息子から学ぶシーンとか、めっちゃオーシャンズっぽくないですか?そう思うのは僕だけかもしれませんがwまあ雰囲気です。

 

あとキャンプから早めに金持ち一家が帰ってきたとなって大慌てで後始末をするシーンとかはミッションインポッシブル感満載でしたね。こんなシーンミッションインポッシブルにもあったような、なかったような…他の映画だったかな?

とにかくそういった観客の緊迫感を煽るようなエンタメ的描写も多く見受けられた気がします。

 

最後に

一つ物申したいことがありまして。まあこれは映画の内容には関係ないので感想本編では書かなかったんですが、今作の宣伝で「ネタバレ厳禁!!」ってすごい強調されてて、今回の鑑賞時も本編上映後に映し出されたポンジュノ監督からのコメント映像でもネタバレしないでくださいって何回も繰り返しいって強調してたんですけど、そこまでネタバレ厳禁な映画なのか?と思ってしまって。

 

たしかに予測不能な展開は起こります。(まあそれも予想できちゃう展開も中にはあるんですけどね。)でも宣伝であったどんでん返しとかネタバレ厳禁と強調しなきゃいけないシーンはなかったように感じました。というか宣伝でそれ強調しちゃったせいで観る側もどんでん返し期待しちゃって逆効果なのではないかなと。僕もその1人です。

つまり僕が言いたいのは、これから本作を鑑賞する方に向けて、どんでん返しを期待して鑑賞するのはオススメできません。頭空っぽにして何も期待せずに観ていただきたいです

 

期待しすぎた割にはそこまで…っていう部分もあり僕は少し拍子抜けしてしまいましたが、それでも十分楽しめる&強烈な良作ではあったので、みなさんも是非劇場に足を運んで今作を鑑賞されてみてはいかがでしょうか?

 

それでは今回はここら辺で。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

あ、最後に。これ今年ラストの記事なので。

みなさん、よいお年を!!

 

 

評価 ☆☆☆☆☆☆★★★★6/10